基礎研究を応用するためには、患部に薬剤を適格に届けるドラッグ・デリバリー・システム(DDS)に代表されるような工学的技術の助けが必要になります。
二つ目の理由は、必須因子の解析ができても、それだけでは応用に結び付かないためです。
たとえば、ある遺伝子Aを潰すと骨ができなくなりますが、骨欠損一般に遺伝子Aを投入しても骨はできません。
Aは数十ある必須因子の1つにしか過ぎないからです。
骨をつくりたいなら、複数の因子を患者さんに投入しなければならないのです。
三つ目は、効率の問題です。
驚くべき結果でも、1%の確率でしか起こらないものは臨床には応用できません。
四つ目は、ものづくりの観点の欠如です。
特に医療機器はそうで、要素技術をバランスよく統合する必要があります。
大学発の創薬や医療機器開発を活性化するためには、臨床だけ、基礎だけでなく、基礎から実用化まで包括的に進めるトランスレーショナルリサーチ(以下TR)の観点を導入することが大切です。